パートナー大学であるアメリカのアトランティック大学(College of the Atlantic)は、アメリカ北東、メイン州の沖にある人口7,000人の小さな島(Mount Desert Island)にあります。この島にはアーカディア国立公園があり、その美しさは瀬戸内海国立公園の中にある大崎上島の美しさと重なります。
50年前に人口が減ってゆく島に恒常的に人がいることを願い、島のビジネスマンと教会の牧師が大学を立ち上げることを考えました。学生たち一人ひとりに手が届く小さな大学。今でも1年生から4年生まで350人しか採らないリベラルアーツの大学です。
この大学はHuman EcologyとSocial Entrepreneur を教育テーマとしています。
人間が自然を制覇するのではなく、人間も自然の一部として共存し、地球と自然をいかに保存するためのビジネスを展開するかを考えます。その為に学生たちは色んな分野の専門知識を組み合わせて自分の生き方を模索しデザインします。現場に出ていき経験的学修を行います(Experimental Learning)。グローバルな社会に生きる人格形成を目的とし、教師は学生に「教える」のではなく「寄り添い」ます。
College of the Atlanticは米国では評価の高い大学です。プリンストン・レビューガイドによれば、4年間連続でアメリカでのGreen School第一位に認定されており、持続可能な環境を保証するための学際的カリキュラムを提供しています。その為、学生が中心となり、化石燃料を使用しないキャンパス、トイレはコンポストを奨励するなど、徹底しています。2022年にできたガラス張りの新しい建物には、渡り鳥のことを考え、ガラスにぶつからないように人間には見えないが鳥には見える線がはめ込まれています。
学生たちは学年ごとの必須科目があるのではなく、200科目の選択科目から自分が学びたい科目を自由に選び登録していきます。学年は関係なく4学年が混じり合いながらの学びです(ただし登録は、4年生から科目選択の優先従位が決まります)。
卒業するためには4年間の間にインターンシップ(3カ月)が必要で、またIndependent Studyを一学期(3カ月)申請して、自分が学びたい場所(国)に行くことも可能です。これは自分で研究テーマを決め、大学に認められれば経済支援も受けられます。
選択科目の中には、海外での学びの海外拠点が用意されています。ドイツ(有機農業)、デンマーク(代替エネルギー)、メキシコのユカタン(インカの文化)など。
2023年には日本(大崎上島)も学びの拠点となる予定です。学生は選択科目としてこれらの科目を登録し、海外で3カ月ずつ、それぞれの国の文化と特色を学ぶことが出来ます。
リベラルアーツとは、日本でいう教養科目のことで、自分の専門を決める前に幅広い分野を覗いてみる4年間です。そして卒業後、就職するか或いは大学院で自分が決めた分野を深く学ぶのです。